2023年03月02日
銅製ミルクパンの錫引き
2023/02/08
無垢の銅製親子鍋の錫引きをどうしようかと迷っていましたが、とりあえず錫を入手してみました。

純度が違う物が何種類かあったので、製造元に尋ねた所、錫引きなら99.95%で十分との回答がありました。
以前は鉛が含有した物も普通に使われていたようですが、毒性が問題になり使用できなくなったそうで、それに比べると十二分に安全なのでしょう。
錫は柔らかい金属で、爪の先を押し付けると画像のように筋が入ります。
次にフラックスですが
何しろ錫引きに関する情報が少なく、検索をしていると「フラックスは酸性でない物を使用する」なんて書かれているブログを発見。
これが足踏みをする元になり、何故酸性を避けなければならないのか全く説明(根拠)が無く、また、フラックス自体酸性なのかアルカリ性なのか解らないだけでなく、成分表示がされていない物も沢山あり、これが最大のハードルとなりました。
錫引きをさらに調べると、塩酸や硫酸での酸洗いを行い、表面の酸化被膜を落とすと書かれた文献を幾つも見つけることができました。
何で酸性のフラックスがダメなので、益々解らなくなってきました。
結局、一般的な商品、種類が違う20ccと100ccを購入したのですが、結論から言うと結構使用量が多いので100ccの方が正解でした。
もっとも、入門なので弄り倒したということもあるのですけれど。

一通り役者を揃えました


日々ミルクを温めるために使い、時には吹き零れてそのまま焼き付いてしまったりで、器量が悪くなってしまったミルクパン。
購入当初から経年劣化か、スポンジで洗っていても錫引きが徐々に剥がれてきてしまうようなコンディションだったのですが、すっかり使用感が出てしまっています。
劣化した物を焦げ取りで削り
酸洗いし
アルコールで脱脂していざ!


ここからは正に奮闘という感じで撮影している間もなく、いきなりのAfter画像ですみません。

錫は3ブロックあったのですが、使用量は微々たるものでした。
縁のほかアラがありますが、ミルクが入る部分は概ね綺麗に出来たので、今回はここまでにしました。
火傷を心配してトングを使ったのですが、なかなか力が入らず往生し、そうこうしている内に脱脂綿に引火して焦げた脱脂綿が付着するなど… これが最大の敗因
厚手の革手袋を填め(手慣れた方はこれすらしていない)
大き目の脱脂綿を掴み(和手拭の方が良いかもしれない)
錫を延ばす時は力を入れて内から外へ(トングでは力が入らず延ばせない)
何となくコツが掴めた感じがしますので、次回はもう少し手際よく、そして上手にできると思います。
周囲も少し磨き、古い十円玉色から銅本来の色に戻りました。
頑固な固着は、後日焦取ケミカルに頼って最後はピカピカに仕上げましょう。
本当なら、親子鍋を入門にして、これを集大成にしたかったのですが、普段使いしている物なのでつい手を付けてしまいました。
やっぱり入門は、口が小さく深いこのミルクパンではなく、親子鍋のような平べったい物から始めるのが正解でしたが、妻は及第点をくれ、上機嫌で使っているので良しとしまします。